あたたかい潮

 

 

 

武蔵小山のタリーズでデカフェを飲みながら『意識のターニングポイント』を読んでいた。

本を読みながら「心のなかに隙間をつくって生活しよう」と思った。

「心に余裕を持つ」というよりも、「心に隙間をつくる」と言ったほうがしっくりくる。

ちょっと言葉を変えるだけで、意識への届き方がかわったりする。

  

タリーズを出たあと、近所の公園にいった。

園内を歩いていると、若い夫婦と3歳ぐらいの男の子とビーグル犬が歩いていた。

なんだか幸せそうだなぁと思った。

  

ちょっと歩いた先にあったベンチにすわっていた。

しばらくボッーっとしていた。

目の前で、いろんな景色が動いていた。

 

バトミントンをしているカップル。

シャボン玉をしている幼稚園児と先生たち。

空と樹木を背景にヒラヒラと舞う紋白蝶。

いろんな「他者」の動きが目にはいって、意識がほぐれてきた。

カバンからカメラを取り出して、何度かシャッターを切った。

 

家に帰って料理をした。

小瀬村晶さんの『South Wind(feat.NIKIIE)』を流していた。

フライパンを握りながら、からだを揺らして歌っていた。

 

キャベツと塩昆布は、フライパンの上でおどっていた。

料理をしながら音楽にひたる時間は心地いい。

帰宅後の時間はちょっと気分がダレていく傾向があるけれど、歌って踊っていればダルさはどこかに去っていく。

 

十六穀米、納豆、きゅうりとわかめの酢の物、キャベツと塩昆布のオリーブ炒め、胡麻としょうゆの冷奴。

いろんなものがたくさん並んでれば、それだけで嬉しくなる。

”賑やかさ”は正義だ。

 

昼ごはんを食べ終えて、すこし横になった。

おおかみこどもの雨と雪のサントラ』を聴きながら、微睡んでいた。

サントラを聴きながら、瞑想的に意識をチェックした。

 

意識の底の方で「イルカ」が泳いでいた。

ぼくのイメージの海にイルカがやってきて、泳いでいた。

嬉しそうに、意識の海面を行ったり来たりしていた。

「そうか、気分が重たいときはイルカに泳いでもらえばいいのか!」

と、わけのわからない、楽しい発見をした。

 

目を閉じて、感覚を開いて待っていると、イメージが飛び込んでくる(ことがある)。

 

今日はイルカが飛び込んできてくれた。

イルカのおかげで、重たい気分がやわらいだ。

いつも、午後からは気分が重たくなりがちだ。

気分が重くなると、無意識に自分を責めたりする。

過去の出来事を振り返って、後悔したりする。

そういうことが、よくある。

 

だけど今日は、ぼくの中のイルカが「そんなのはいいから泳ごう」と言っていた。

人間の言葉はつかってないけど、そう言っていた。

気がした。

  

自分を責めるのはやめて、とりあえず何も考えずに泳ぐことにした。

イルカと一緒に、「イメージの航海」をした。

イルカと一緒に「航海」していると、なんだか「潮」の香りがしてきた。

「潮」の香りを嗅いでいると、しょっぱい味もしてきた。

 

この潮はしょっぱくて、苦かった。

でも、この潮は、とてもあたたかった。

 

 

 

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