風船ガム

2022.10.18

 

 

 

今日は配達のバイトが休みだった。

起きてから眠っているあいだにみた夢についてすこし考えたあと、今日もまた短歌を詠んだ。

小雨が降っていて、ポツポツと雨音が聴こえていた。

雨っぽい歌が詠みたいなぁと思ったのか、すこし湿っぽい言葉が並んだ。

 

1時間ぐらいして布団から出た。

4時前だった。

きょうの朝ごはんは、ごま油のアボカドサラダとごま油の塩キャベツとはちみつココナッツレモン。

それからミックスナッツとダークチョコ一切れとルイボスティー。

脂質まみれのヘルスフードは落ち着く。

なんだか「想念」を食べてるみたいだった。

 

5時前に家を出た。

地元の友達がこっちに来ていて、朝から一緒に東京観光をする。

とりあえず6時に浅草で待ち合わせ。

 

朝っぱらから遊ぶのは昔から好きだった。

小学生のころ、休みの日に同じマンション友達の家に朝の6時前に行ってインターホンを押していた。

 

朝は世界が綺麗な気がする。

呆れる父ちゃん母ちゃんを無視して、公園でサッカーボールを蹴り、綺麗な世界を楽しんでいたのだと思う。

そのころは「世界が綺麗」とか、そんな言葉を必要としてなかった。

「必要」という言葉も必要なかった。

 

今日会う友人は高校の野球部の仲間。

ポジションはセカンドとショートで「隣合わせ」だった。

高三のときのクラスも一緒で、お互い読書が好きだったから、一緒に図書館で「暇つぶし」をしたりしていた。

野球部の移動のバスでもいつも隣に乗っていた。

一緒にいすぎて気持ち悪い。

ホモじゃないんだから。

 

小雨の中、駅前の通りを道を歩いていて、途中でセブンイレブンによって「ブルーベリーガム」を買った。

「隣合わせ」の友人は、よくガムを噛んでいた。

ブルーベリーガムが好きだった。

そいつが噛んでいたブルーベリーガムの香りが記憶に残っていて、その記憶につられてブルーベリーガムを買ってしまった気がする。

「綺麗な思い出」というほどのことでもないけれど、きっとそれなりにいい思い出なんだろう。

 

思い出が生活に食い込んでいる。

今の自分は過去を思い出してガムを噛む。

ガムは思い出を通して過去から今の自分に干渉してくる。

なんとなく口の中をスッキリさせたいだけだったけど、甘いガムを矢継ぎ早に何枚も何枚も食べていると、なんだか不毛なことをしている気になってきた。

 

過去の思い出を余計に膨らましすぎた。

ガムを風船にして膨らましながらそうおもった。

風船が割れて口の周りにガムが張り付く。

ベタベタだ。

 

6時前の駅前には、電気がついている店がチラホラとあった。

夜通しついていたのだろうか。

きっと酔っ払ったまま朝を迎えた人たちがいるんだろう。

 

ボンヤリと光る街の灯りは風船ガムみたいだ。

直視すると単なる人工灯だけど、なんとなく視界に入るぐらいだと心地良い。

 

たまには、なんとなく思い出に浸るのもわるくないと思った。

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