すこし寝ようと思ってヘッドホンとアイマスクをつけて仰向けになった。
曇りの日の朝。冷えた部屋。
目を閉じるまえに30分後に起きたときの感覚を体に覚えさせ、祈るように目を瞑った。
キラキラした鐘の音がする。その音の中に沈みこんだ。
心地よく目を覚ました。
夜あまり眠ってなかったからか、体はもっと寝たがっているみたいだった。
でも、心は起きたがっている。
接続不良だ。
眠りと祈りのつながりがわるい。
スタバにきた。
「今日はジメジメしますね」と、スタッフのお姉さん。
天気は「曇り」だった。
「そうですね。朝はちょっと寒いですけどね」と返しながら、メニュー表を眺めた。
ジメジメした日の、ちょっと寒い朝の、ちょっとポカポカした時間。
デカフェを飲みながら『ファウスト』をパラパラめくっていた。
何ヶ月か前に読んだときには感じられなかった部分が染み込んでくる。
穏やかな気分でいるときに読むファウストと、ささくれだった気分で読んだファウストは全然違う書物だった。
詩は、読者が演奏しなければ、鳴らない。
このまえ久しぶりに『鋼の錬金術師』を観た。
そのことを友達に話した。
アニメの主題化であるYUIの『again』が良かった。
それを友達に話したら、YUIの他の「いい曲」を教えてくれた。
心を素直に開いて生活していれば、そこにいいタイミングで「いいもの」が入ってくる。
いい音を奏でたいと思うのならいい音を感じ取れる構えを、先に、つくっておかねばならない(鳴らない!)。