いのちの名前

2022.10.21

 

 

 

ファスティング明けの前の朝刊のとき、気分がちょっとハイになっていた。

実質この日はファスティング4日目の朝で、今回のファスティング期間は前回と違って「特別な意識」を持たなくても、日常的な意識と地続きで過ごせたと思った。

地続きと言ってもやっぱり何か「いつもと違うところ」はあるわけで、その「いつもと違うところ」が現れるのはやっぱり「いつもと違うこと」をしているからだと思った。

 

なにを当たり前のことを長々と言っているんだろう。

まあいいや。

 

「いつもと違うところ」が現れるのを待つこと。

それが現れたとき、前回はどんよりとした気分が流れていったけれど、今回は「綺麗な心情」が流れていった。

 

朝刊が終わって家に帰ってきて、昆布出汁の煮汁と大根ときゅうりと梅干しを準備した。

パソコンを目の前に置いて、『いのちの名前』を流した。

染みこんできた。

普段表に出てこない体の襞の部分にまで流れ込んでくる。

きのうおとといと掃除をしていなかったのに、部屋がいつもより綺麗だった。

 

1時間くらいかけて最初のご飯を食べた。

ふだんの食事が「滑り台」だとしたら、今朝の食事は「ダイビング」みたいだと思った。

受け身で滑っていくのではなく、自分の意思で潜っていく食事。

 

エメラルドグリーンの海のなかに沈んでいくと「海の音」が聴こえてきて、その音が体に染み込んでくる。

音になった体は海の揺らぎの内へ内へと向かい、海の底で優しく目を瞑る。

上をみるとそこには微かな光がこっちに向かって散乱しながら差し込んでいて、それを浴びながらさらにゆっくり沈んでいく。

そんな食事だった。

 

 

 

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